内山拓也監督作品、映画『しびれ』。
ポストカードのアートワークを担当した関わりで、
ヒューマントラストシネマ渋谷でのトークショーに声をかけてもらった。
作品は今年初め、試写で作品を観る機会があった。
映画全体の空気がロケ地である新潟の冬の厳しさに包まれていて、
観ていて苦しい場面もたくさんあったけれどエンドロールを観終えたときは言葉が出なかった。
映画のストーリーを追うというよりは、
主人公大地の生活のその瞬間を隣に立って見届けているような、
感覚に訴えかけてくるような作品だった。
内山監督の過去作にも感じるものがあったけれど、
今作では劇伴と言うか音楽が極力削られている。
だからこそ映像の中に響く、冷たい風の音やビニールのかすれた音、砂利を踏みしめる音だったりが
自分の想像と重なってリアルに聴こえる感覚がして刺激的だった。
この作品は内山さんの自伝的な内容ということもあって、
映ったもの全てにリアルな強さを感じた。
今自分が暮らす世の中は何が本当かわからないというか、
むしろ本当のことは求めていないんじゃないかと錯覚する社会で、
この『しびれ』という作品の中では疑う必要がないんだと思うことができた。
苦しくなる場面がたくさんあったけど、
ラストシーンで自分は希望を感じることができたし、
会場ではまた作品を観に来ますという方が何人もいた。
この作品は自分の感情や心の状態、タイミングによって、苦しく感じたり、前向きな作品に見えたり、
受け取るものがガラッと変わる作品である気がしていて、
会場に訪れた人達がまた違うタイミングでも作品にふれてることができるのならば、
それは凄いことだなと思った。
お越しいただいた皆さま、ありがとうございました。